開館10周年記念 特別展
<<前ページ次ページ>>TOP
 平成 2年に開館されました徳島県立文書館は、今年平成12年度、10周年を迎えることとなりました。この間、県民の皆様方のご指導ご支援をたまわり、お育ていただきましたことに対しまして深く感謝申し上げます。
 そして、この度、10周年を記念いたします展示「北海道開拓と徳島の人びと」を特別展として開催することになりました。第20回企画展もあわせて実施させていただきました。
 北海道は、今、移住四世の時代に入っており、本館へも開館以来、多くの方々が白らのルーツ探しにおいでになっております。このことから、逆に徳島から北海道を照射いたすべく、平成 9・10年度の 2か年間、徳島県人の北海道移住関係資料調査を行ってまいりました。また平成11年度には、それらの調査の成果をもとに、資料紹介展「徳島県人の北海道移住」とシンポジウム「北海道開拓と徳島県人」を開きました。
 明治 4年の稲田家臣団の静内移住にはじまり、阿波藍を北海道に導入し、藍づくりを成功させた仁木竹古や鎌田新三郎、旧藩主蜂須賀茂韶の拓いた蜂須賀農場、各地に開設された県人による開拓農場、明治25年には徳島県知事関義臣が、当時の徳島県民69万人のうち 4万戸、20万人を10年かけて北海道に移仕させようとした計画すらありました。また北海道を基盤に北蝦夷地(樺太)の開拓を志した岡本韋庵、北海道新聞の前身をひらいた阿部宇之八、72歳の高齢にもかかわらず、自らの信念のもと理想郷を実現すべく北海道に渡った関寛斎、そして、原野に挑み切り拓いていった多くの県人、或いは余儀なく退いていった人たち、西日本最大の移住県であった徳島県の姿が浮かびあがってきました。それは、実に忘れていた徳島の近代史の一面であります。今回の特別展は、その徳島近代史の欠如を補完するものでもあります。
 私事ですが、私は文書館に着任する少し前、平成11年の 1月末に初めて北海道に行く機会を持ちました。県立池田高等学校の生徒達をスキー修学旅行に引率したのです。機上から壮大な北海道の白い大地を眺めたとき、まだまだ日本にはこんなに広い土地があるのかと感嘆したことを覚えております。その北海道はいま有珠山の噴火や地域経済の問題などで厳しい状況の中にあると聞きます。北海道に寄せるこの展示は、北海道を切り拓いた方々の、辛苦や喜びに思いをはせるとともに、明治以来強い結びつきを持っていた北海道への徳島県民からのエールとなり、再びその絆が深まればと考えております。
 このたびの特別展につきましては静内町・仁木町・雨竜町・陸別町・本別町を始めとする徳島県人の移住に関わる多くの市町村、各関係諸機関、千葉県東金市立図書館、またなによりも移住をされた子孫の皆様方から多くの資料や情報をお寄せいただきました。さらに、この特別展・北海道移住関係資料調査全体を徳島大学の平井正午先生に監修ご指導していただきました。皆さま本当にありがとうございました。

平成12年8月5日 徳島県立文書館長 逢坂俊男

 

北海道移住全図

 

開館10周年記念 特別展
<<前ページ次ページ>>TOP

詳しい内容のお問い合わせは下記までお願いします。

〒770-8070
徳島市八万町向寺山 文化の森総合公園内
TEL 088-668-3700
FAX 088-668-7199
Copyright:徳島県立文書館.2000