第15回 資料紹介展

蜂須賀家文書の書簡
 第十五回文書館資料紹介展は、「包む・科封じる‐封紙・封筒の世界‐といたしました。日本人は昔から紙や布でものを包むということを行い、独特の風習や文化を育んできました。現代においても百貨店や量販店では箱に入っているものでも丁寧に包装紙で包んでくれるこ一般的で、サーピス精神旺盛であると言えるでしょう。一方諸外国に出ると、箱に入れて販売している品物はそのまま袋に入れて渡される事が多く、物足りないような感覚を持つことはないでしょうか。このように包むという行為は日本人の心情の現れのひとつであり相手の気持ちを思いやる表現と言えるでしょう。
 包む行動の中でもうひとつ抜きにして考えられないものに風呂敷があります。われわれの日常の生活の中で、何の変てつもない正方形の布が実に機能的で便利なものとして使われてきております。徳島では古くから各家々で藍染めによって家紋を染め抜いて使用していました。大きさも大小さまざまで、大きいものは肩や首にかけて背負うものとして使用しますし、小さいものは手提げとなるように役割や使い方も違っていました。これらは、まさにわれわれの大事な文化のひとつで、木造の家屋と共に見の回りの風景を創り出していたと言えるでしょう。
 一方、封ずるという行動は、個人の目的や封ずるものの内容によって千差万別のものでしょう。われわれが手紙を出すときには、封筒の裏に糊づけして〆印をするのが一般的になっています。これは、相手以外の他人にはその中身を絶対に見られたくないという心情が込められています。このことは、現代社会の課題のひとつであるプライバシーの保護に通じます。
 また、封をすることは白分の意志の強さを示すこともあります。私はタバコの封を切るときのほかな香りが好きだったのですが、ある日禁煙を誓ってタパコの封の上に封をして決意を示し、そのまま二十年以上の歳月が流れています。
 このように包む封ずるという行動は、われわれの身の回りの中で日常的に行われ、意にも留めることが少ないものであります。今回の資料展は、この行動に着目し、本館の所蔵している資料の中から具体的に考えてみようとしたものです。どのような使命や役割を持ってさまざまな資料が包まれ封じられたのか、一端でもご鑑賞いただきご意見をいただければ幸甚に思います。
 最後に、文書館へ資料を寄付寄託された多くの方々にお礼を申し上げます。
中世の封紙
折封
明治初期ドイツ公使の封筒
江戸時代中期の整理袋
江戸時代の薬の包み紙

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